八王子で100年続く老舗の呉服店
「坂本呉服店」の新店舗
老舗の呉服屋さん、そのハイクラスな勇気とセンスと決断力、そして大らかさ。100年に渡って人が集まる店とは、まさにこの店です。
八王子で100年続く老舗の呉服店「坂本呉服店」の新店舗を作るご相談で、kitoriの古い知り合いのライターさんと、kitoriショールームに来てくれたのが最初でした。
その時、ショールームを見ながら、あれこれ話をして、次にカフェもされていた旧店舗に伺い、坂本さんセレクトの新しい感覚の着物や帯など見せてもらいました。その後、新しく移る新築の店舗物件を見に行って、あれこれ話をしました。
その建物はバス通りにある「Ajirochaya」。お茶屋さん網代園の敷地にある新しい複合施設で、新しい八王子を象徴する場所です。
店舗はガラス張り、裏に蔵のある斬新な物件でした。驚いたのはその温室のようなガラス張りの部屋の中央にトイレが立っているんです(想像できない方は写真参照)
そこにかなり広かった旧店舗から引っ越し、着物を飾り、小物を置き、仕上がって来たお客様の着物を保管、反物を収納。着付けもすると言います。その上、坂本さんを慕って集まる人とお茶会になることも。そしてやはりスタッフルームもなくては。
かなり狭いスペース、中央にトイレ、そして全てガラス張り!アイデアを絞りました
驚くことにそのアイデアを気に入ってもらうと、その後はkitorにお任せしてくれたのでした。そうなると作り手としてはより良いもの作って驚かせようと、燃えるものです。
今回はたくさんの見所がありますが、まず狭い店内の壁にディスプレイをするためにタイルの目地のあちこちに穴を開けて、そこに特注のアイアンフックを差し込んで、棚をつけたり、そのまま物をかけることが自由にできる壁です。いつ行っても素敵に飾られています。
次に2つに分かれ移動可能なテーブルにもなる商品を並べる台。2つ合わせると大テーブルになり、人が集まってもお茶会ができます。 バックヤードはトイレを囲むように新しく建てた壁と半円形の仕切りの向こうに扉をつけて。
商品を並べる場所には反物に合わせた棚、その上の衣桁、正面にキャスター付きの着物掛けを並べて、その裏には姿見も仕込みました。実は床下に着替え用の引き出せる畳も仕込んだのですが、これは重くて出しずらいと後ほど改良しました。など。
壁の時計と、奥の扉のガラス、エアコン隠しの古い建具は旧坂本呉服店から持って来たものです。100年の思い出を新しい100年に。ここもお任せでした。
とにかくアイデアにアイデアを重ねて、使いやすく空間の広さを感じない、完成度とまとまりのとても高い店に仕上がりました。坂本さんのセンスもあって、いつも新しい感覚で着物を着た方々で賑わっています。
種類 | 店舗のデザインと施工、家具製作 |
概要 | 100年続く老舗呉服屋さん、新感覚の着物、ガラス張りの新築店舗物件、人が集まる場所、着物の在庫や保管の仕方、着付け、バス停の前、裏に蔵、中央にトイレ |
仕事内容 | 店舗デザイン全般、家具・衣桁・建具製作、塗装工事、タイル工事、特注アイアン製作、新規壁、バックヤード扉製作・バックヤード裏目隠し建具製作・取付。引き出し式畳製作・取付・改良。旧店舗からの思い出の品選択、加工、取付。照明取付。 |
施工期間 | 1~2ヶ月 |
備考 | この店舗は家具中心にできている施工です。店舗の場合、壁にビスを止められないとか、あとで現状復帰が必要などの規制があるので、用途に合わせて、大工工事と家具を使い分けます。この店舗は新築で壁はもともと白く塗られていたので、必要な部分だけ壁を建てペンキを塗る、タイルを貼る施工をしました。それ以外は移動できる家具で店を作っています。特にスペースがない場合は可動式の棚が壁の代わりをしたり、飾り台とテーブルを兼ねることで、有効利用できます。店舗をたくさん作りつつ、家具を自社で制作することができるkitoriの強みでもあります。 |